アーカイブ:2012年

排水処理の最終産物

こんにちは、長井です。

前回の「汚泥減容」に引き続き、汚泥減容に関する実験についてご紹介します。
排水を生物処理すると汚泥が発生し、弊社の微生物を使用するとその汚泥発生量が少量になることは、前回ご紹介させていただきました。

しかし、そこで疑問になるのは、「減少した汚泥はどこに消えたのか」ということです。
そこにあった物質がパッと消えることはありません。何か別のものとしてどこかへ移動するのです。

排水中で微生物が分解できる汚濁物質は主に有機物です。微生物が有機物を分解すると、最終的には、二酸化炭素、水、アンモニア、硝酸塩、リン酸などの無機物になります。二酸化炭素やアンモニアは気体として気中に逃げていきます。また、水も汚泥とはなりません。よって、汚泥は分解され、違う形で排水中から出ていくため、汚泥が減少するのです。

先日、それを確かめようと実験してみました。
実験では、前回の製油工場の排水を用い、微生物処理前と処理後の気中の二酸化炭素濃度を測定しました。
結果は、微生物処理後の方が気中の二酸化炭素濃度は著しく増加していました。確認のために排水中の全有機炭素(TOC)濃度も測定したのですが、こちらは処理前に比べ、処理後の方が減少していました。このことから、排水中の有機物が微生物により二酸化炭素などの他の物質に分解されて、排水中から出ていくために、汚泥として残らず、結果的に汚泥減容につながることが明らかとなりました。

汚泥減容

こんにちは、長井です。
弊社では微生物とBio-RESEシステムを使うことによって汚泥の発生量が減少するとご紹介させていただいております。そこで今回は汚泥減容についてお話ししたいと思います。

ある製油工場でBio-RESEシステム導入の現地テストを行っていました。

現地テスト中、排水を処理しても、ほとんど汚泥が発生せず、汚泥を引き抜くことはありませんでした。
従来の活性汚泥処理では、BOD(生物学的酸素要求量)を減少させると、その代わりに汚泥として転換されます。よって、排水を処理する度に汚泥が蓄積し、系外へ引き抜く必要が出てきます。一般的にBODの汚泥への転換率は50%程度となっています。

しかし、現地テストでは汚泥の発生量はきわめて少なかったため、データをもとにBODの汚泥への転換率を求めると、約3%と非常に小さい値となりました。
一般的な転換率と比べても、あまりにも小さい数値だったため、最初は計算間違いじゃないかと思い、何度か確かめてみましたが、本当でした。排水中に含まれる基質にあった微生物を用いればここまで浄化できるのだということを実感しました。

はじめまして

はじめまして、大阪生物環境科学研究所の長井と申します。
入社してまもなく1年が経過しようとしていますが、排水処理に関しては初心者ということで、勉強の日々を過ごしています。

主な業務として、研究室内で微生物処理を行った試料の分析や、クライアント企業様へのメンテナンス訪問を行っております。

実験をしていて、いつも微生物には驚かされます。依頼された排水に微生物を導入して処理させるだけで(微生物にとって好条件下ですが)、汚染度が低下していくことや、塩分濃度が高かったり、工業製品の排水など生物が生存しにくいであろう排水にも、良い微生物が開発できれば処理を行ってくれるということです。微生物の開発にはまだ携わっていませんが、微生物処理は広い範囲で可能なのだと感じています。

クライアント企業様へのメンテナンス訪問では、排水処理の管理をされている現場担当者様は長年に渡って管理していらっしゃるため、一般的な排水処理に関して教えていただくこともあり、勉強不足ということを痛感しております。このような方とも対等にお話が出来るように努めていきたいと思います。

今後は、現在取り組んでいる排水の紹介などをご紹介していこうと考えております。

工場の排水処理は100年前にイギリスで発祥した活性汚泥法が主流です。この方法は、排水の種類を問わず、排水をためた水槽に空気を送ってバッキをし、上澄み液と汚泥層に分離させて、上澄み液を放流させる方法ですが、以下のような問題点があります。

① 大量の汚泥が発生するため、薬品代など高額の処理費用がかかる

② 工場排水は常時変動し、汚泥を分離させるタイミングがあるので常時担当者が必要

③ 高濃度処理(BOD2000以上)は困難。加圧浮上装置など別途附属設備を必要とし、付設に経費がかかる。

一方、当社は、排水中の成分を特によく分解できる微生物を専門家がオーダーメイド開発し、排水浄化に活用する方法を提案しています。他者に先駆けたこのオーダーメイド微生物処理法は、その浄化能力、経済性、地球環境に貢献できるなど多くの特徴を持ち、19年の実績があります。

具体的に、オーダーメイド微生物処理法では、前述の活性汚泥法の問題点を次のように解決できます。

① 排水中の成分を微生物が分解するので、大幅な汚泥削減となる。それに伴い、汚泥処理費用も大幅に削減できる。

② 排水中の成分が微生物の食糧となるので、成分濃度等の多少の変動には自動的に対応することができる。よって、常時担当者は必要なくなり、作業効率が良くなる。
③ 高濃度排水に対応できる。

製油工場のn-Hex値11000が7に、 梅工場の高BOD値85000が72に、また高塩濃度の化学工場(EP樹脂工場)では、8%の塩分濃度で活躍できる微生物を開発し、導入することによってCOD値8204が135になり浄化に成功したという実績があります。

この技術によって、加圧浮上装置が不要となり、排水処理施設費用の大幅削減が達成できました。

またメンテナンス時の薬品使用量も激減し、排水処理経費の大幅削減につながります。

今回は、弊社導入実績にもご紹介させていただいております、マレーシアみりん製造工場についてご紹介いたします。

2000年4月マレーシアにある日系みりん製造工場がでんぷん排水の浄化技術を募集していることを知りました、そこで、当社で推奨している「オーダーメイド微生物浄化法=BIO-RESEシステム」を提案させていただきました。

先方は、みりんの製造工程で微生物を使用することから、微生物がいかに排水に有効であるかを理解してくださいました。その結果、大手水処理会社からの提案があったにもかかわらず、弊社のBIO-RESEシステムを導入してくださったのでした。

処理前の現場の水は、BOD 1600、COD 2100 SS 2100 その上、生デンプンの腐敗臭が強烈な状況にあったのです。ご存じのように生デンプン(βデンプン)は分解が難しいとされています。しかし弊社はその課題をクリアすることが出来ました。

オーダーメイド微生物導入後は、BOD 20、COD 9、SS 27と、それぞれの浄化率が 98パーセント以上という、理想的な数値が出すことができました。また、汚泥の発生が極端に減少した。(-92.5%)ことにより臭気問題も解決致しました。

結果があまりにも良好な為、マレーシア工科大学の研究課題となり徹底的な調査が行れ、その結果、この数値の正当性が証明され、当社の技術力が高く評価されたのでした。

現在、この工場では2期工事も完了し、排水施設は、全て弊社が担当しております。また、年に2回現地視察に行くのみで、先方は排水施設専門の担当者を配置する必要がありません。

昨年には、タイに工場を新設することとなり、当社の浄化法が再び採用されました。現在、マレーシア・タイどちらの工場も稼動継続しております。

※BIO-RESEシステムとは、個々の排水の分解に最も適した微生物を開発⇒導入することで、高い浄化率を保ったままで、なお且つ、汚泥の発生を極度に減少可能にする技術です。

これにより、汚泥引取り料,薬品料、人件費など従来の活性汚泥法で必要となっていたコストの大幅な削減が可能になります。

導入に当たっての詳しい説明は、下記のページをご覧下さいませ。
クリック⇒https://water-treatment.jp/service/step.html

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