一般的な排水処理において油の分解・処理は難しいと言われています。また、家庭で使われる油(てんぷら油など)の植物油・動物油は特定の微生物により処理は可能ですが、石油系洗浄剤(界面活性剤)や機械油、切削油のような鉱物油は微生物による分解・処理はさらに困難だと言われています。
N株式会社様のケース
N株式会社様は金属加工を行っている会社で、排水中には鉱物油が含まれています。以前までは凝集剤、凝集助剤など薬品を利用して浮上分離による排水処理方法を利用されており、工場から排出される汚濁物質を汚泥にして凝集させ、この汚泥を産業廃棄物として処理していました。
N株式会社様は日本のみならず世界各地に工場を持たれており、持続可能な社会構築のため、環境活動に力を入れている会社様です。
以前から当社の自然の力を利用した環境にやさしいBio-RESEシステム(オーダーメイド微生物による排水処理)に興味を持っていただいており、2012年5月に商社様経由で本格導入していただきました。
以後、メンテナンスをさせていただき、1年半を経過しましたが、汚泥発生量が顕著に減少し、現在も順調に稼働しております。
バイオリアクター槽の設置
排水処理施設には弊社開発のバイオリアクター槽を設置しています。また、一般的な活性汚泥法では汚泥と処理水を分離するため沈殿槽を利用しますが、この施設では沈殿槽の代わりに膜分離装置から澄んだ処理水を吸い上げて汚泥と分離する膜分離槽を設置しています。
よって、従来の沈殿槽敷地面積より小さくて済むため排水処理施設はよりコンパクトになっています。
1日あたりの排水量
現在、BOD、COD、n-ヘキサン(油分)においてほぼ除去率90%~それ以上で処理が行われています。特に鉱物油はn-ヘキサンで示されますが、n-ヘキサンに関しては99.0%と微生物がほとんど分解しており、鉱物油含有排水の処理に成功しました。
(排水量 100t/日)
項目 | 原水 | 処理水 | 除去率 |
---|---|---|---|
pH | 10.0 | 7.3 | - |
BOD (mg/L) | 470 | 8 | 98.3% |
COD (mg/L) | 190 | 20 | 89.4% |
n-ヘキサン(mg/L) | 100 | 1未満 | 99.0% |
導入前後の発生汚泥量の比較
発生汚泥量も導入前と比べても減少しており、その他の薬品代、電気代を考慮してもコスト削減ができています。なお、汚泥中の油分も3%程度と問題ないレベルです。
Bio-RESEシステム導入後の様子
Bio-RESEシステム導入後、処理水の一部を利用して池で鯉を飼っています。生物が生息できるほどの水質にまで処理が可能であり、工場から出る汚濁物質のほとんどを微生物が分解・処理するので生物には無害なこともBio-RESEシステム(オーダーメイド微生物による排水処理)の特徴です。
鯉もどんどん大きく育っています。